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【プーチン幻想 ・ロシアの正体】の 著者、グレンコ・アンドリー氏語る [評論&講演]


今年の春、3月か4月ごろ、youtubeを通して倉山満氏とグレンコ・アンドリー氏の対談を3回ほど視聴していました。流暢な日本語でロシアとプーチンの正体を語る切り口に、そしてロシアの周辺諸国や現在はロシアに侵略されているウクライナの教訓に、なる程と頷くことが多くあり、このウクライナから来た留学生(研究者)にも関心が高まっていた頃、4月に出かけた憲法関係の講演会で、グレンコ氏の講演会のチラシを貰い、5月19日、講演先の兵庫県芦屋市に知り合いの方と出かけました。



一つの講演に行くことで、また別の講演の情報を得ると言う、体を動かすとそれなりの結果が出るものですね。因みに、この講演は【日本の歴史文化研究会】主催で、何と65回目にあたり、題目は【「ロシアの正体」と日本の危機 】でした。


会場に早めに着き、中に入ると30名くらいの参加者が入れるくらいの部屋の広さです。受付で頂いたチラシで質疑応答の時間が設けられていることが分かり、この広さだと文字通り身近でグレンコ氏や参加者の話が聞けるのだと期待感が高まります。


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この時期、折もおり「維新の会」の丸山穂高参議院議員の北方領土に関する【戦争発言】がメディアで取りざたされていました。グレンコ氏は「まあ、この話に触れないわけにはいかないでしょう」といった感じで意見を言われました。


丸山氏の「戦争するのは反対かどうか?」というきき方では、日本人は本能的に否定するのは分かりきったことなので、国会議員として軽率であったと見解を述べられ、話の途中で前後の言葉をよく覚えていないが、鈴木宗男議員は売国奴だと言われたのが印象に残っています。メディアで連日丸山氏の戦争発言が取り上げられた頃、時事通信から電話でグレンコ氏に質問があり、17日朝、ほぼ自分の言った通りに出ていたそうです。


対ロシアで日本にとって最重要問題は言うまでもなく【北方領土問題】ですが、この日の講演でグレンコ氏が終始一貫して言われた解決方法は、日本の【再軍備】でした。更に領土問題は4島だけでなく、千島、樺太を含めて主張しなくてはいけない、との見解が、常に弱腰であった日本人への再認識と覚悟を迫るものです。今の日本人は、先ず2島返還か、いや4島だと論じているレベルですから、本来は千島、樺太も一緒に取り戻すべきだと言うグレンコ氏の考えは超まともな考えだと言わねばなりません。正直、千島、樺太がいつの間に私たちの頭から消失してしまったのか? その歴史的経緯も私の中でも曖昧模糊な状態です。そうだ!千島は、樺太もあったではないか! 情けないことに、日本人は領土を保持するという感覚が薄い国民なのでしょうか?



グレンコ氏の考えはこうです。「北方領土問題は、取り戻すためにはどうすれば良いかを考える。最終的に必ず取り返すと言う信念を持つ。現状をあれこれ考えてというリアリズムではなく、兎に角世界全体に対して主張し続ける。何となれば、【領土は国家の基本。国家は領土と国民から成る】からである。 4島だけでなく、千島、南樺太を含めて主張しなくてはいけない。」


「 ロシアの国力は今がピークである。それは落ちぶれている(笑)日本の4分の1程度。ロシアは軍事力だけ(だけ、に注意!)がある(謀略、諜報戦も含む)。 日本は、経済力を軍事力に回していけば、2~30年後に日本の軍事力が追いつくのは可能。長い時間がかかるかもしれないが、決して諦めてはいけないということ。絶対に妥協せず領土を取り戻すという覚悟が必要だ」と。


再軍備については、将来チャンスが訪れた時に、常にスタンバイ( stand by)の状態にしておくこと、と話された。


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グレンコ氏の話は、ロシアという国家そのものの正体に及んだ。
「 ロシアは、第二次大戦後に何も誇れるものがない。つまり、第二次大戦に勝ったこと以外に誇れるものがない 」という意味である。


「 日本国内には、ロシアを対中国への抑止力として使うのは有効だという考えがあるが、とんでもない考えであり、中露は関係の強化を築いている。ロシアの承認で中国人がロシアに制限なく入っている。これは、プーチン、中央政府が認めている。これからも新しいパイプラインが引かれている。ガスの販売価格は公表されていない。中露が1つになってアメリカと対立する構造であり、中国にとって、プーチンほどの親中体制はない。」



「 日中経済協力では、日本は40年間も支援し続けてきた。ロシアは、物理的に侵略できるようになったら、必ず侵略する。それは、グルジア、ウクライナで実証済みのこと。ロシアに日本が援助すると、その分だけちょっと強くなることを考えないといけない。過去の例を見れば、20世紀に一番ロシアを援助したのはアメリカである。」


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質疑応答の時間では、【具体的に日本、あるいは日本人がどうして行くべきか?】をウクライナ人のグレンコ氏に尋ねる質問が多かった。

前述の【信念】や【覚悟】に直接関わるものと思うが、グレンコ氏はこう言われた。「 日本人の一人一人が、領土問題で何を言われても、パッと答えられるような状態になっておかないといけない」 「有りとあらゆる方法で、政治家、有力者、一般人にこの対ロシア、領土問題を働きかけて行く行くしかない」


「プーチンは良くも悪くも、世界的規模で考えている」という彼の見解は、改めて私たち日本人が戦略的に国際社会を捉え、領土と国民の安全と保障を堅持していく必要を感じさせられた。



他にこんな初耳の話が語られた。それは歴史を捏造するロシアの正体だ。まるで中国と韓国と同じではないかと思った。ギリシャ語ではルーシーという語はロシアと呼んでいた。古代ルーシーの中心だった民族は後のウクライナ人になったが、モスクワ人がそれを取り上げて自分たちはルーシー人と主張したという。 約束は約束を破るためにある。物を盗むだけでなく、歴史までも奪うロシアということだ。


講演を聴き終え、日本は周囲をとんでもない国家に、しかもいくつものタチの悪い国家に囲まれているのだと再認識した次第である。縦長に長い島国の日本は、まるで魅力的な、しかし無防備の若い女性のようだ。ある方が櫛名田比売(くしなだひめ)と称されたが、矢張り、武装した日本武尊の存在が常に必要だということだ。


北方領土問題解決には、時間がかかろうと決して妥協せず、一にも二にも【再軍備】【軍備強化】ということになる。付け入る敵には、己が姿を見せて見よ、と言いたい。


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日本文化チャンネル桜•••••「秋の特別対談、西尾幹二氏語る」 [評論&講演]

以下の文は、なんと去年の確か10月の日本文化チャンネル桜のネット動画「秋の特別対談」の内容をメモしたものです。水島総氏とゲストの西尾幹ニ氏との対談内容があまりに的を得ていたり、興味を惹かれたので、自分の読み返し用に残します。時もたち、メモした本人が自分の字が掴めないというお笑いもありますが、万一読んでくださる方、お許しください。


先週土曜日(14日夜)、いつもよく見ているチャンネル桜(略称)で、「秋の特別対談」という特別番組があり、ゲストの西尾幹二氏の話を聞いた。


西尾氏は、今の日本の教育現状を云々というより、いわゆる「戦後教育」が70年以上もかけてこの国や日本人そのものにもたらした多大な弊害を1時間通して語っていた。


1、2年ぶりくらいに拝見した西尾氏は80才を超えられたということで、最近一寸痩せられ年を取られたように感じたが、口を開かれると同時に番組の対談相手の水島 総(さとる)氏もしばしば強くうなづく程に、とても的確な洞察力、見識が感じられ、1時間は充実したものになった。


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最初は、「教育の平等、高等教育の無償化」の誤りの指摘から始まった。これは、分数計算やアルファベットも書けない者が大学に進学する今の時代に、明治時代の皆が貧しかった頃の子供に唱える文言(もんごん)ではないか!高校進学が90パーセントを超えた平成のこの時代に、却って中卒者への差別が増える。平等が広がると、競争の中のトップは怠惰に走り、下の方は却って苦しい者が生まれる。生徒の8、9割のものが正答出来る問題に限定すると、その問題すらも解けない1割の者への差別が生まれる。

教育と競争は、本来、現実的で生産的なものでなければならない。
(これに対し、水島氏は言う) 「競争や難しい問題があると、自己認識ができる。」

安倍さん(安倍首相)は、ベラベラ喋るが、言語、ボキャブラリー(語彙)が乏しい、と西尾氏は批判して、
時の人トランプ大統領に及ぶ。

トランプ(大統領)の方が安倍さんよりよっぽど立派だ。雇用の拡大を唱え、自国へ工場を戻そうと言っているし、その動きが起きている。パリ協定をぶっ飛ばしても自国の産業を守るんだと一見乱暴な事を言っているが、立派だ。

今までアメリカは国際主義と言う偽名を使ってグローバリズムを隠してきたが、それがままならなくなって自己の利益をむき出しにしているだけだ。

安倍さんは、戦争のことに関して、簡単に言うと、北の脅威に対して国際協力をしていかなければならないと言っているが、これは、諸国民の信義に期待するという現憲法そのものと同じ考えではないか!


日本は、教育の問題も含め、政、官、財の質が低く繋がっている。水島氏曰く、「西尾先生の上の世代は凄い、とても及ばないと思っていたのは、当時の教育が素晴らしかったからだと思う。70才から下は、ダメだという気がしている。」 これに対して、西尾氏は「昔は、法学部も理系の学生も文学の本を読んでいたものだ。」と返している。

トランプは、共和党の主流ではなく、傍系の方であり、保守に反逆する保守の立場にある。


希望の党は、第2の保守と言っているが、何故右の●●(メモが不明)に立たないのか!そうすれば、ある一定の票は獲得できる。トランプのように強い意思を見せ、中国その他の強権的弾圧に対して、コミュニズムの謀略は終わっていないと何故言わないのか! 日本の政府やメディアも音無しの構えで沈黙している。

こういう状況を見ると、絶望的な気持ちになる。(水島氏)


話は、戦後直後に始まったGHQによる焚書坑儒から【日本を蝕む言論界】に及ぶ。

以前は他と比べて保守的だと言われていた拓殖大、国士舘大、大東文化大、そして皇学館大まで、全て左翼系が入り込んでいる、と今の日本のおそるべき実態を語った。


その中で、西尾氏は、「日本の世界史的立場を取り戻せ」という共著を出版した中西氏のことを、いい相棒、話し相手だと語る。この本で、中西氏といい話ができて、最後の晩年に幸せでした、とてもいい話ができたと言われた。


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(この先私のメモは、中国を批判する西尾氏の言葉を書いている)

中国は、世界最悪の国だと思う。習近平は今ドイツと結びつこうと思っている。日本は中国を再学習して価値を奪い返し、近代を確立した。日本と西洋は学習し、そこから解放されたという経験をしている。アメリカは、ヨーロッパの近世以降、目の前に巨大な空間を見つけた。(これはアメリカ大陸や太平洋を指すのだろうか?)
信長、秀吉は、大陸を見ていたが、北太平洋からは見ていなかった。ヨーロッパは激しく競り合う集団で、戦争も平和も合理的に存在し、ヨーロッパ内部では殲滅戦争をしなかった。それが近代ヨーロッパの姿で、その文明を●●●(メモ不明)達は信じてしまい、そこから忠実なしもべとなる。しかし、アメリカという嵐が来る。今までイギリスの言いなりだったアメリカが嵐となって出現して来た。一方、中国は戦前から自己中心的な存在で、自己の外に合わせる基準はない。その中国は日本の手に負えなかった。第二次世界大戦に、アメリカが中国と手を結んだ。今の慰安婦などの問題は、ここに淵源がある。


ベルサイユ講話条約はアメリカ主導で進められ、アメリカと西洋は中国に黙従する。ここで日本はしっかりと覚悟を決めて行動しないとアメリカと中国の奴隷になる。中国は、アメリカが日本に対してやって来た奴隷化へのやり方を研究し、熟知し学習していて、アメリカをモデルとして日本に同じことをやって来ている。

(水島氏が東京ガスの人に聞いた話では)「中国は(原発の良否は別として)今、100基か200基の原発を増やし続けているのは、かなり長期的な、エネルギーを全部自前でやっていくという、悪い意味での知性、戦略を持っている。こういう中国への扱いはどうすればいいのか?」

「日本人は平和ボケはいけないが、バランスのとれたいい国であり続けるという事は大切な事。
これを外国がモデルにする→日本がもう1回世界●●●を主張する、その時、中国のような強権的な国家をモデルにするつもりは日本にはない。


ヨーロッパもアメリカも中国の言いなりになるとは思えない。しかし、ドイツが一番怪しい。ドイツの経済は中国頼りである。


このように、教育の問題から対談が始まったが、最後に、西尾氏の提言は、もっと国際人(真の意味のだろうが)を増やすべきだという結論だった。
バランスのとれた国際人ということでは、最終的には教育に帰着する、ということ。


政治も経済もとても大切だが、日本という国家を支え構成するのは日本人という人間だから、その人間を育てる教育が根本だということになる。大変手間も時間も要するが、結局、遠いようで一番確実なことだと思えた2人の対談であった。


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建築家・安藤忠雄の記念講演【生きる力】 [評論&講演]

6月9日、この日は京都工芸繊維大学の創立記念日で、今年で6回目となる建築家・安藤忠雄の講演会が大学内のホールであった。
現在76才の安藤氏の【 生きる力 】とは、【 自分の頭で考える知的体力と自分自身の体力で生きていけ! 】ということだった。

以下、講演でのメモを基にまとめてみました。

私はたまたまこのイベントを昨年知り、今年は2回目の参加となった。古山学長の前置きの挨拶の後、安藤氏の講演が始まった。先ず、舞台中央のスクリーンに【 100 】という数字が現れた。


【 100 】
人生100年ー3年前に膵臓を摘出する手術をしたとあっさりと言われるが、いつもの関西弁丸出しでポンポンと早口で次から次へと話を続けていかれるエネルギーにびっくりさせられる。実は、安藤氏は膵臓だけでなく、脾臓、胆管、胆嚢、十二指腸と、全部で五つの内臓をこれまでに摘出していると言う。

「 合計5つの内臓を失くして、なぜ生きられるか? 」 「それは目標を持って生きるからだ!」と力強い。

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話は1968年へと遡る。
「 皆さん、1968年の5月革命は知っていますか?」「はい!(どうぞ)」と挙手を会場の人々に促される。会場の聴衆から、パラパラと手が挙がった。
「1960年代というと、日本では安保闘争がありましたね。」
「フランスで5月革命があった時は、私はパリにいた」ー これは初耳でした。
「その頃、1日5時間本を読んでいた。ヘミングウェイの『老人の海』『武器よさらば』などなど、、。
また、大江健三郎の本も。例えば、『箱男』も読んでいたが、さっぱりわからん。」 それでも、そのままにしておかず折々に挑戦して読み直されたとか。


昨年の話にはなかった安藤氏の若き頃の姿が垣間見得て興味深かった。1日5時間も費やすほど読書家だとは意外でした。若き頃、ヨーロッパを放浪(遊学)されたことは以前から知っていましたが、当地で建築物や建築関係を幅広く研究、吸収されたのだろうくらいにしか想像していなく、やはり後々成功する人は探究心が深いのだと思い知らされました。しかしながら日本を離れたかの地で本に読み耽り、自分には理解できないものに格闘する姿はその後の安藤氏の仕事や生き方にそのままに重なりました。


「人生で何か起こったら、諦めずに次のことを考えたら良い。」という言葉も印象に残ります。



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【青いりんごの絵】がスクリーンに映される

人間は「生涯、青い(青臭い)ままの方がいい」との言葉の後に、同じスクリーンに私の知らない画家、美術家の方が2、3人紹介された。(講演会の後、ネットで検索してみたが)一人は白髪一雄という画家で、なんと足で絵を描く一風変わった人、また松谷武判という美術家は、40年経ってやっと自分の作品が売れるようになったと紹介された。この方達と安藤氏に共通するものは、人の真似はしない、他人には媚びない、というところだと思う。自由に生きる、生きられるというのは素晴らしいことだと思うが、自由にはリスクが伴う。安藤氏もこの紹介された芸術家たちも、自分を貫くリスクをどう克服されるのか、されたのか気になるところです。私のようなものは、そのぶれない気持ちをどう保つかが課題なのですが。


この辺りでも再度、「1日に5時間は本を読まんといかん。」と繰り返され、「自分の知的体力と自分の体力で生きていくのが大事」と強調される。

この後、直島に作った美術館に絡んで、小泉元総理や画家のリチャード・ロングなどの人々のエピソードもユーモア交えて話された。


後半に近づくと、自分の若い頃を、建築専門の学校も大学も出ていないし、経験も頭もない、50人クラスで下から3番目をキープしていたと表現されつつ、今の若者たちへの危惧をストレートに舞台からぶつけておられた。安藤氏の世代は90,100才まで生きられるだろうが、今の日本の若者は添加物のたっぷり入った食べ物を食べているからそこまでは生きられないとの考えを持っておられる。他国、取り分けアジアの若者は【生きる】ことに熱意がある。これからの時代は世界は1つということを認識するのが大事。この日本だけのことを考えていてはいけない。若者を発奮させるために、安藤氏の建築のクライアントで80才を超える方達の年齢を超越した心意気や目標を披瀝された。

建築の仕事で、お金や成功は関係ない、今がワクワクして楽しければいい、と言い切られた。本や建築も同じで、同じように見えるけれど、その時によって見え方が違う。時間をかけ、体力をかけて対しないといけない。


「組織や家族、人間は必ず老化する。私ももうすぐ76才」と言われる安藤氏の【 生きる力 】とは、【目標を掲げ、知的体力と肉体の体力で切り開くこと】だと自身の信念を力強く語ってくださった講演でした。


自身を振り返ってみると、日常にワクワクするようなことがほぼない状態に陥っていることにまた気付かされ、仕事や毎日の繰り返しで自分の本心が喜ぶことを見失いがちだと反省した次第です。


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上横手雅敬京大名誉教授のセミナー•••••「平家物語」を読む [評論&講演]

昨年11月1日という日に京都アスニーで開催された「 古典の祭典 2016 」に出かけました。

昼からの第2部で、上横手雅敬京大名誉教授の講演【「平家物語」と平清盛】、並びに荒尾 努奏者による【平曲(平家琵琶)平家の語りと琵琶の調べ】を聴く事が出来、学生時代に受けた古典の授業とは意趣の異なる時代や人物像に迫る解説や、例の「祇園精舎の鐘の音、、、、」で始まる有名な平家物語の文を生の平家琵琶の演奏で聞けて【古典の日】と制定されている11月1日にふさわしい時間を過ごせました。


珍しい平家琵琶の演奏はこの日だけの特別演奏でしたが、「平家物語」のセミナーは京都アスニーで毎月一回開かれていると分かり、翌月12月から1月、2月と連続受講しています。講演者の上横手先生は後からネット上で調べると日本中世史研究の第一人者と言われる方で、素人の私から見ても、「成る程、だからあんなに使われる資料も解釈も多岐に渡っているのか!」と感じました。先生はずっと後ろの座席から拝見すると、70才くらいの方かなと思っていましたら、あとで現在84才と知り、びっくりでした。80代の方と見えない「気」、「気迫」というエネルギーを感じたせいでしょう。大学は退官されているといえ、中世史という学問への長年の情熱がなせる技かと思います。



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一方、受けている人たちはほとんど皆と言って良いくらい高齢者です。正直びっくりしました!平日の昼間の時間帯ともなれば、若者や育児で忙しい主婦や働き手の青壮年者は来れないのは分かります。高齢者(かくいう私も)の方達の熱い学習意欲、知的好奇心には圧倒されますが、日本人の他の年代層の人たちにも私たちの遠い祖先の歴史や伝統、当時の人々の心情を正しく知ってもらいたいなと受講の場で毎回思います。


11月の初回の時か12月か、はっきりとは覚えていませんが、上横手先生が言われた事でとても印象に残り、講座を受けるきっかけとなった言葉があります。それは、内藤湖南という学者の言葉「日本人を知るために、日本の古代を知る必要はありません」を引用して、上横手先生もそう考えているとのこと。【応仁の乱】つまり下克上の時代はそれを境に日本人の体質を変えた。それ以後の日本の歴史は西洋人でも簡単に理解でき得る。応仁の乱は日本の歴史を2つに分けている。それ以前の歴史、日本人の事は解釈が必要で、だから私はこうやって来ているとおっしゃった点です。そういえば、最近、呉座勇一氏の新書「応仁の乱」がよく売れているらしい。今まであまり注目されていなかったこの時代のことがクーローズアップされている本の中味が、上横手先生の指摘があるだけに気になります。


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12月12日の講座では、「国民は地方の土民」という説明のところで、昨年末、沖縄の基地闘争で大阪から現地へ派遣された警察官が、基地反対の運動者に対し、「土人」と呼んだことに関連した説明がありました。改めて言われるとそうなのか!と思ったのは、「土」という言葉には、「つち」という意味は無いとのこと。土百姓(どん百姓)、土民、、、と例をあげられ、「『土スケベ』と言いますが、その意味がないのはわかるでしょう?」と言われ参加者の笑いを誘った。日本語は日本の歴史そのものが古い故に意味を正確に捉えるのが難しいなと笑いながら思った。

後半は、【落首】、【楽書】すなわち【落書】について話が進んだ。「門・塀・壁などに文字や絵のいたずら書きをすること」だが、平安時代の初めから見られるという。政治批判の投書の役割を果たしたのがあり、ただの落書きでは無いのがあった。その他、古典に出てくる用語や言葉は、まるで今の現代人から見れば外国語みたいな気がするが、「尼公」という言葉は、尼となった女性を敬って言うことば、と言う説明を受けると「うーん!」と唸って納得することになります。


このように、1月、2月と講座を受ける中で、毎回いくつかの刺激と発見がありますが、この先また話題にすることになるでしょう。


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建築家 安藤忠雄講演会 『夢をつくる』・・・6月3日 [評論&講演]

最初に。
今回のブログは直近の講演会へのコメントではありません。メモ帳に少し書いていたものを読み返し、自分の為の記録としているので、お気楽にお読みください。

5月末に、よく使う地下鉄の構内の壁に貼られたポスターに目が留まった。来る6月3日(18:30~20:00)に京都工芸繊維大学であの有名な建築家安藤忠雄氏の講演があるというお知らせだった。テーマは「夢をつくる」で、「夢を語る」や「私の夢」とかいったものでなく、「つくる」という言葉に関心を抱いた。言葉とは大事だなと今回も思った。

無料講演だが、17:00から整理券配布ということで、多くの聴講者が予想されるとわかった。17:30頃整理券を受け取ると、【463】番目だった。


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さて、定刻通りに講演会が始まり、メディアで何度も目にしてきた通りの安藤氏が例のマッシュルーム型のヘアースタイルとジャケットで舞台に上がられた。紹介の言葉で、工芸繊維大学での今回の講演はなんと5回目になるということでこれ迄情報を逃していたのが惜しまれた。その時、7月9日(土)16:00-17:00に、TBS、MBS系テレビ番組『未来に生きる建築家』に出演されるお知らせがあり、楽しみにしているところです。

講演中、時折メモを取りましたが、書いた私さえ一部しか蘇って来ないのが残念だが、まとめてみました。
お話の根幹は、『夢をつくる、育てる大切さ』でした。
これが安藤氏のこれ迄の、そしてこれからの人生を貫く価値感、値打ちになっておられると感じました。出だしで、今の人、若者に対し「【夢見る力の劣化】が心配だ、夢を育てるのは自分の力だ」と語られ、75才の安藤氏は自分にはこれからまだまだ夢があると熱く語られた。

先ず、ステージ上に設けられたスクリーンに【100】と大きく映し出され、日本ではこれから人生100年という寿命のスパンで生きていく可能性があるという前提で始められました。その後も次々と(全部は網羅していないのですが)キーワードを次のように提示しながら、安藤氏が説明していかれました。

【独立自尊】→【自由・勇気】 → 【出会い】 →【教養・野性】といったワードです。

出会いでは、人・物・自然との出会いをキャッチする、と言われました。

途中、パンテオンの写真を聴衆に見せられ、20代の頃ヨーロッパ放浪をした時のパンテオンから強烈なインパクトを受けられたことを知り、同じく20代で初めて訪れたヨーロッパ、イタリアで見たパンテオンに強く感動した私は氏に共感を覚えました。建築や建築学には全くの素人ですが、パンテオンのあのスケールと構造の美しさに圧倒されたことは今でも鮮明で忘れられません。

ルネッサンス期のかの有名な画家ラファエロが、自分が亡くなったらこのパンテオンの中に埋葬してほしい、とまで熱望した通り、彼の墓は内部の壁に寄せられて作られていました。当時の人たちにとっても憧れのパンテオンに生前の望み通りに埋葬されたラファエロは何と幸運な人でしょうか!


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話を戻すと、安藤氏は【教養・野性】のワードの時に、これ迄の多数の作品群を写真を見ながら手短に説明された。そこで何となく氏の言わんとする【野性】という価値観が伝わって来た。初期の有名な【光の教会】、小さな島に敢えて造られた美術館(ベネッセアートサイト直島・地中美術館)、北海道の広い平原にいきなり出現したような頭大仏、同じ敷地内でわざわざ傘を差して往来しないといけない住居等など。氏の言われる【野性】とは、自然との共存、社会通念を排除する大胆な発想と同じ意味になるのでしょう。

生の講演会とは、メインの話以外のちょっとしたエピソードや雑談の方が意外と興味深かったりするものだが、今回も安藤氏が関西人の面目躍如といった感じで、とてもユーモアのあるてらいのない人だと分かった。
例えば、
① 新国立競技場の審査委員会で委員長を務められたことでは、「あいまいにこういう役は引き受けたらいけないですよ」と言われたり、
② このオリンピック関係の記者会見に5人ものボディーガードを伴って出かけた件で、実は、建築現場にいる体の大きな人たちを5人選んで連れて行っただけです、と言われ、

③ 設計の打ち合わせをする際は、相手の言うことをふん、ふんと聞いてはいるが相手の言うことを聞くことはない、と言われる。自分の面白いことを考える。自分は、日本人だということに誇りを持っていきたい。自分に誇りを持つとは、自分の家族、国に誇りを持つ、ということだと言われる。国際的に活躍する人でこういう自然な愛国心のある人だと安心して話が聞けます。

紹介の時も、安藤氏自らもご自分が2014年にガンが見つかり、膵臓と脾臓を全摘する手術を受けられたことに触れられた。抗がん剤治療も受けられた様子だが、確かジムにも通い、体を鍛えられたとか。そのメンタル、そして体力には恐れ入りました。普通人ですと、70代半ばで手術を受けたりするとがっくりしそうですが、これからやりたい色々な夢があると仰る生き方は、若者にも私たち年代のものにも大きな灯台になります。

今回、講演の中で一番心に残ったのは、「一生覚えている事を半年に一度はしないといけない!」という言葉でした。それだけ感動のある事を繰り返す、ということでしょうか。7月9日のテレビ番組も楽しみです。



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ノーベル物理学賞受賞者・中村修二氏の弾丸トーク・・・青色LEDを否定! [評論&講演]

3月28日、卒業式も終わった京都工業繊維大学のセンターホールで、【2016 起業工学国際シンポジウム】が開催された。
「伝統から未来へ」というテーマの下、あの青色LEDでノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏の特別講演がありました。他にも日米の名だたる教授による【起業工学】や【起業家(精神)】に的を絞った講演が無料公開されました。

13:00、古川正雄京都工業繊維大学長の開会の辞に始まり、加納剛太高知工科大学名誉教授による今回の講演会の主旨の紹介の後、いよいよ、中村氏の特別講演が始まりました。タイトルは予め「ノーベル賞受賞に思う」でしたが、受賞の決め手となったあの青色LEDの説明は眠たくなるでしょうからと前置きをされ、受賞にまつわる報道(マスコミ)の歪曲、2000年まで勤めておられた日亜化学との長年に渡ることになった裁判で分かった日本の司法の形式主義、欠陥をもどかしいばかりに早口でコテンパンに批判されました。

ノーベル賞を受賞される前からの中村氏の印象は、あくまでマスコミを通してみれば、元いた会社を裁判で訴える悪役のようなイメージが付きまとっていましたが、直接お本人からお話を伺うと、そもそも会社の方から理不尽に裁判で訴えられたことであり、それはいわば、殴られたから殴り返しただけと豪語され、思わずニヤリとしました。この裁判の過程での日本の司法のあり方や問題点をパワーポイントの画面を使い、日米の違いを出しながら怒涛のように説明されましたが、あまりのスピードと情報の多さに逐一記憶では思い出せないのですが、特に、日本ではアメリカと違い、文書、証拠書類の提出がない等discovery processがない、という欠陥があることを知りました。


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しかしながら、それ以上に驚いたことは次のことです。

青色LEDは私が発明したのですが、使わないでください、と何回も、少なくとも3回は強調されたことです。特に小さい子には危ないとまで言われました。現在中村氏はご自分が共同設立者になっておられるSORAAで紫色LEDを開発されておられ、こちらの方を勧められました。青色LEDにとどまらず紫色LEDにその後携わっておられたとは、この時初めて知りました。

講演の最後に、日米の教育の違いを端的に指摘され、日本の教育は大学受験が目的で、アメリカのはsurvival skill(競争に打ち勝つ技、力)を身に付けることだと簡潔に表現されました。アメリカ人はどうやって社会に挑むか、どうやって金儲けするか考える。これから活躍する日本人に望むことは、(プレゼンテーションを身につけ、競争力を高めるためにも)最低4,5年は英語圏に行って欲しい、それから帰ってきても良いだろうと言われました。


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中村氏の講演内容は、当日持ち帰り自由で頂いた「日本復活の鍵 起業工学」の本の中で、氏がより詳しく述べておられました。前述の青色LEDを元にした白色光と紫色LEDを元にした白色光の違いを書かれ、アメリカでの子どもを対象にした実験結果からも、本の記述のままでいうと「世の中に青色LEDが蔓延した結果、不眠症とうつ病患者が溢れてしまったら、発明者の一人としては悪夢である。」 とか 「いずれにしても、人間の健康に害があるなら、青色LED照明は早く世の中から引退させなければならない。そのために私はソーラの事業を必死になって進めている。」とあり、再度驚きました。

中村氏は率直、明快な方だとこのことからも言えますが、私が日常得る情報の中で青色LEDの弊害の記述を見落としていたのか、それとも、日本のメディアがまだ世の中にこの情報を流していないのか計りかねます。

当日の会場には確か500名未満の人が来ていたと告げられましたが、ほとんどが背広姿の方が主で、学生の姿はあまり見かけられず、本当に勿体無いことだと思いました。

次の講演者の河田聡大阪大学特別教授のお話も中村氏に劣らず明快で簡潔な語り口でした。日本の教育の弊害を分かりやすいデータを見せつつ解説され、成る程と頷くことが多かったです。時間の関係で残念ながら後半の先生方の講演が聞けずとても残念でした。技術の話ではなく、起業工学の精神、あるいは起業家精神に関する内容でしたので、文系の私にも十分得るものがありました。

こういう内容であれば、今後も是非参加したいと思っています。まだ全部は読んでいませんが、「日本復活の鍵 起業工学」は予想に反して読みやすく、聞き慣れない起業工学というものを分かりやすく解き明かしてお勧めの本だと思います。河田教授のお話については、またこのブログで触れてみたいと思っています。


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「正論」・作家百田尚樹氏の講演会 [評論&講演]

誕生日の今日、京都「正論」懇話会第50回記念講演会が京都市の国際会館で開かれた。ゲストは作家百田尚樹氏だった。事前のハガキによる申し込みで会費は2千円でした。

2時過ぎに着くと会場はほぼ満員で、講演は定刻通りに14:30スタート。赤いネクタイが印象的な百田氏が登場された。短めの開会の挨拶の後、早速百田氏が動画で見ていた通り早口で語り始められた。

講演を聞くまでは、最近の政治問題や日本と近隣諸国との国際関係などを一気に話されるのかと思っていましたら、2月23日に誕生日を迎え還暦の60才になったことを話の発端に、10年前、つまり50才を迎えようとしていた矢先49才の時、放送作家として活躍はされていたものの、それまでの我が人生を振り返って総括し、何か自分の生きた証(あかし)が欲しい、命をかけるものが何かないかと思われたこと、ご自分の父親、叔父に当たる方の相次ぐ死との巡り合わせと重なり、次世代、またその先の世代へと戦前、戦後を生きた人々の思いを繋げる為、小説家の道を新たに選んだことを明かされた。


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50才当時の百田氏は人生50年という言葉もあるように俺の人生は何だったのか、と年令のプレッシャーを感じておられた中、自分が制作担当していたテレビ番組「探偵!ナイトスクープ」に出演された94才のマジシャンの存在に大いに刺激を受けたという。その飄々としたマジシャンを名乗る入江さんという人は、84才で学校に通い整体師の資格を取った人だった。そんな人に比べれば、自分の年令なんてまだこれからだという気持ちに目覚め小説家の道へと進み始めたといい、入江さんは自分にとって恩人だと言われた。この入江さんの出演はyoutubeの「ナイトスクープ マジシャン」で見れますよ、と言われたので、家に帰り見てみるとなるほどユニークな方で、百田氏の話でも笑いyoutubeでもまたまた笑ってしまった。瑣末なことですが、百田さんによれば、入江さんは88才で資格を取ったと言われていましたが、テレビではご本人が84才と言っておられました。翌日の産経新聞では、百田さんのお話をそのまま受けて88才と書いていましたが。

百田氏のお父様は大正世代の方(大正13年生まれ)で、私の父親も大正 7年生まれの同じ世代なので父や当時のことに思いを馳せながら聴いていました。百田氏の子供の頃は、父親やその世代が集まればよく戦争中のことが話題になって耳を傾けて聞くのができたそうです。地元の大阪も子供時代はあちこちに戦争の傷跡がはっきりと残っていて、まだまだ戦争の記憶を共有できていたが、一世代置いた自分の子供たち、つまり孫たちとは一切戦争に関する話が交されることがなかった経験が元になり、あの「永遠の0」を書かれたそうです。


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その後5年前、百田氏は初めてものが書けないスランプに陥ったと明かされました。それはあの東日本大震災の後でした。もう日本は駄目ではないかと気持ちが落ち込んでいた時、知人から「日章丸事件」のことを聞かされます。その事柄の事実を全く知らなかったが、中心人物の出光佐三を調べていくことでもう一つのベストセラーとなった「海賊と呼ばれた男」が誕生しました。

百田氏が強調されたことは、この二つの物語の男たちは、実は同じ世代、大正世代の男達だっということです。先の大戦で、大正世代の人は6人に1人、戦争の後半になると4人に1人戦死している。そして、戦後、焦土と化した何もない国土で復興を遂げていったのも、同じく戦地から引き上げたこの世代の力に負うところが大きいと言われ、今更ながらに思い知らされました。敗戦直後、アメリカが日本国内を調査した結果、日本はあと50年かかってやっと昭和5年の状態に戻るだろうと結論を出したそうですが、なんと戦後19年後、アジア初の東京オリンピックを開催しました。最後に、百田氏はこうした先人達の持っていた気概や功績に対して日本人の誇りを感じるし、忘れてはならないと訴えられました。いつも懸命に熱弁を振るわれますが、感極まっておられることを聴衆の1人として感じました。

最後の最後、最新作「カエルの楽園」を紹介され、この作品は自分でも今までの最高傑作だと思っていると言われましたので、読んでみたい気持ちになりました。

全体の感想としては、① 大正世代の思いが伝わってきたこと
② つい年令に気押される気持ちを見直すことができた

以上の2つが得られ、行ってよかったと思いました。


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